売買契約の日に、家が「思い出」へ変わった話
売却活動が始まった頃、
私はずっと「流れ」を追っていた。
査定。
内見。
買付。
一つずつ、淡々と進めているつもりだった。
でも、
売買契約の日は、違った。
この日を境に、
この家は「売りに出している家」から
「手放す家」になる。
その重さを、
私はこの日、初めて実感した。
私の人生の一部。
私の一大決心、私の家。
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契約日前に始まる、静かな準備
契約日が決まると、
不動産会社から連絡が入る。
「必要書類を準備してください」
一覧で送られてきた項目。
• 権利証(登記識別情報)
• 印鑑証明書
• 実印
• 本人確認書類
• 銀行口座情報
文字にすると簡単だけど、
一つひとつが重たい書類だった。
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権利証を探す時間が、妙に長く感じた
まずは、権利証。
「確か、この辺に…」
大切にしまっていたはずなのに、
いざ探すと、見つからない。
書類ケースをひっくり返し、
引き出しを全部開ける。
この時間、
不思議と焦りと一緒に
過去の記憶がよみがえる。
• 引き渡しの日
• 初めて鍵をもらった瞬間
• 私の優雅な一人暮らしを夢見た日
ようやく見つけた権利証を手にしたとき、
少しだけ、胸がぎゅっとした。
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印鑑証明を取りに行く道で考えたこと
印鑑証明を取りに、役所へ。
何度も来た道。
でも、この日は違った。
「この書類で、本当に終わるんだな」
そんなことを考えながら、
番号札を握って待っていた。
書類一枚。
でも、
これが意思の証明になる。
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契約書は、思っていた以上に分厚い
契約当日。
不動産会社の会議室。
机の上に置かれた、分厚い契約書。
正直、
「こんなにあるの?」と思った。
• 売買契約書
• 重要事項説明書
• 約款
• 添付資料
担当者が、
一つずつ説明していく。
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内容確認は「分からない」を放置しない
専門用語が並ぶ。
• 瑕疵
• 契約不適合責任
• 解除条件
正直、
分からない言葉も多かった。
でも、
ここで流してはいけない。
「ここ、もう一度説明してもらえますか?」
何度も聞いた。
ちゃんと聞いた。
ふと、気になった事も聞いた。
恥ずかしさより、
後悔しないことを選んだ。
担当者が、
嫌な顔一つせず説明してくれたのが、
本当にありがたかった。
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「もしも」の話をする時間
契約書には、
楽しいことだけじゃなく、
「もしも」のケースも書いてある。
• ローンが通らなかったら
• どちらかが解除したら
• 手付金はどうなるか
この話を聞いていると、
一瞬、不安になる。
でも、
現実から目を逸らさないことが、
大人の契約なんだと思った。
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契約締結の瞬間は、あっけない
全ての説明が終わり、
いよいよ署名。
名前を書く欄が、
いくつもある。
実印を押す。
「ポン」
音は、驚くほど軽かった。
でも、
その一押しで、
流れが決まる。
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手付金受領で、一気に現実になる
契約が終わり、
手付金の話へ。
• 金額
• 振込予定日
• 着金確認方法
「◯日には入金されます」
そう言われた瞬間、
胸の奥で何かがカチッと音を立てた。
もう戻れない。
でも、
それは怖さより、
安心に近かった。
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家は「物件」になるけれど、思い出は消えない
売買契約をした瞬間から、
この家は「物件」になる。
数字で語られ、
条件で判断される。
でも、
ここで過ごした時間まで
消えるわけじゃない。
それは、
私たちの中に残る。

売買契約は、終わりじゃなく節目
契約が終わっても、
まだやることはある。
• 引き渡し準備
• 引っ越し
• 最終決済
でも、
心理的にはここが一番の節目だった。
心がいろんな気持ちになった。
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これから契約を迎える人へ
もし今、
売買契約を控えているなら。
緊張していい。
迷っていい。
でも、
分からないことは必ず聞いてほしい。
サインするのは、
紙じゃない。
あなたの選択だから。
