木. 2月 26th, 2026

1. 出発前:甘い見積もりと予報の軽視

朝から重く垂れ込めた灰色の空。
「まぁ大丈夫だろう」と根拠なき自信で荷物をまとめた私は、慌てて買ったホッカイロ10個を“切り札”のように握りしめて家を出た。

しかしスタジアムへ近づくほど、風が強く、雪は横殴りに。
“雪は上から降るもの”という常識は数分で崩壊した。

歩くだけで頬がしびれ、冷気はコートの裾から遠慮なく侵入してくる。
家族の誰より私が先に「しまった」と思っていた。


2. 席についた瞬間、戦いが始まる

アルミの座席は、触れただけで体温を奪う。
カイロを次々に貼りながら、
「10個で足りるよね…?」という自問はすでに不安の色

しかし寒さの勢いは上。
貼った直後の温かさはすぐに薄れ、
“芯の冷え”がひたひたと迫ってくる。


3. 驚愕の“ドラえもんポケット集団”との遭遇

前の列には、50代前後の男女7名。
彼らはまるで冬の観戦マスターだった。

  • ロングコート(ベンチコート)
  • 防風ポンチョ
  • 座席クッション
  • 座席用カイロ
  • バッグの防水カバー
  • ブランケット複数枚
  • さらには 友達の分まで装備を準備

「どこからその装備が!?」と思うほど、次々と出てくる。

準備とは“やさしさの層”でもある。
そしてその層の厚さは、私たちとは比べ物にならなかった。

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4. 息子は爆睡、夫は“冬眠モード”へ

試合前、息子は私と夫の膝の上に乗ってすとん、と爆睡
子どもの体温は優しい。しかし、
その下にある私の太ももは氷点下の座面と静かに戦い続けている。

横で夫は体をほぼ動かさず、
**「エネルギーを最小限にする冬眠モード」**で耐えていた。


5. 寒さが勝つ。ホットフードにも勝つ。

ハーフタイムに、夫がホットコーヒー、温かいソーセージ、タバスコたっぷりタコスを買ってきてくれた。

手は温まる。
味も最高。
だが——

身体の芯は、まったく温まらない。

ソーセージの温度は風にさらわれ、
タコスのタバスコは舌だけに効力を発揮し、
身体全体の寒さを覆す力は持たなかった。


6. 後半戦:観戦というより“耐寒修行”

後半が始まる頃、私は残りのカイロの配置を見直す作業に没頭していた。

  • 背中
  • 太もも
  • 足首 → ここは効く!

しかし大ボスは座面の冷たさだった。
太ももとお尻の温度が着実に奪われ続ける。

試合内容の記憶よりも、
「寒い…」「あと何分?」
という家族の会話の方が鮮明に残った。


7. 試合終了:家族全員、心まで凍っていた

試合は最後まで観た。
意地だったのか、根性だったのか、たぶんその両方。

退場するときには、足の裏の感覚がふわついていた。
そして私たち夫婦は、同時に言った。

「次はロングコート買おう」

珍しく、声がきれいに重なった。

この日負けたのは寒さではない。
“準備力の差”だった。


8. 車で解凍されながら見えたこと

車の暖房で体が少しずつ戻ってくる。
その時間が、なんとも言えず幸福だった。

夫が小さく笑って
「今日はよく頑張った」
と言った。

誰に向けた言葉だったのかわからない。
でも、その一言で「今日の寒さも悪くない」と思えた。


9. 次へ向けての誓い:準備は未来の自分への手紙

帰り道、私たちは自然と“次の観戦”の話をしていた。

  • ロングコート(家族分)
  • 座席クッション
  • 座席用カイロ
  • 大判ブランケット
  • ネックウォーマー・足首保温
  • 防水カバー
  • そして 余分の備えを誰かのために

準備は、未来の自分や誰かを守るための
“やさしい手紙”なのだと気づいた。

次に観戦するとき、
私たちは今日の苦い経験をきっと活かせる。

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10. 最後に:今日の冷えを忘れないように

鏡に映った赤い頬と濡れた髪。
バッグから出てきた未使用のカイロ2つ。

足りなかったはずなのに、残っている。
それは、たぶん今日の私から次の私へ渡された
**“余白”**なのだろう。

そして私は、そっとメモをした。

  • 天気予報を甘く見ない
  • 座面の冷え対策は最優先
  • ホットドリンクは二杯目が本番
  • 夫には動けるスペースを、息子には眠れる場所を

準備は愛。
今日は、それを身をもって知った。

次のスタジアムでは、笑って写真を撮れるはずだ。

投稿者 Osozaki-mama

20代での結婚が正解と思っていた私。仕事に生き、城を築き、40歳目前で運命が動く。今は育児とキャリアの戦場で、全部手に入れると決めていきる!育児、家事、仕事に子供のお受験や大好きな旅行など、ちょっと良かった決断や失敗談まで掲載させて頂きます!

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