1. 出発前:甘い見積もりと予報の軽視
朝から重く垂れ込めた灰色の空。
「まぁ大丈夫だろう」と根拠なき自信で荷物をまとめた私は、慌てて買ったホッカイロ10個を“切り札”のように握りしめて家を出た。
しかしスタジアムへ近づくほど、風が強く、雪は横殴りに。
“雪は上から降るもの”という常識は数分で崩壊した。
歩くだけで頬がしびれ、冷気はコートの裾から遠慮なく侵入してくる。
家族の誰より私が先に「しまった」と思っていた。
2. 席についた瞬間、戦いが始まる
アルミの座席は、触れただけで体温を奪う。
カイロを次々に貼りながら、
「10個で足りるよね…?」という自問はすでに不安の色。
しかし寒さの勢いは上。
貼った直後の温かさはすぐに薄れ、
“芯の冷え”がひたひたと迫ってくる。
3. 驚愕の“ドラえもんポケット集団”との遭遇
前の列には、50代前後の男女7名。
彼らはまるで冬の観戦マスターだった。
- ロングコート(ベンチコート)
- 防風ポンチョ
- 座席クッション
- 座席用カイロ
- バッグの防水カバー
- ブランケット複数枚
- さらには 友達の分まで装備を準備
「どこからその装備が!?」と思うほど、次々と出てくる。
準備とは“やさしさの層”でもある。
そしてその層の厚さは、私たちとは比べ物にならなかった。
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4. 息子は爆睡、夫は“冬眠モード”へ
試合前、息子は私と夫の膝の上に乗ってすとん、と爆睡。
子どもの体温は優しい。しかし、
その下にある私の太ももは氷点下の座面と静かに戦い続けている。
横で夫は体をほぼ動かさず、
**「エネルギーを最小限にする冬眠モード」**で耐えていた。
5. 寒さが勝つ。ホットフードにも勝つ。
ハーフタイムに、夫がホットコーヒー、温かいソーセージ、タバスコたっぷりタコスを買ってきてくれた。
手は温まる。
味も最高。
だが——
身体の芯は、まったく温まらない。
ソーセージの温度は風にさらわれ、
タコスのタバスコは舌だけに効力を発揮し、
身体全体の寒さを覆す力は持たなかった。
6. 後半戦:観戦というより“耐寒修行”
後半が始まる頃、私は残りのカイロの配置を見直す作業に没頭していた。
- 背中
- 腰
- 太もも
- 足首 → ここは効く!
しかし大ボスは座面の冷たさだった。
太ももとお尻の温度が着実に奪われ続ける。
試合内容の記憶よりも、
「寒い…」「あと何分?」
という家族の会話の方が鮮明に残った。
7. 試合終了:家族全員、心まで凍っていた
試合は最後まで観た。
意地だったのか、根性だったのか、たぶんその両方。
退場するときには、足の裏の感覚がふわついていた。
そして私たち夫婦は、同時に言った。
「次はロングコート買おう」
珍しく、声がきれいに重なった。
この日負けたのは寒さではない。
“準備力の差”だった。
8. 車で解凍されながら見えたこと
車の暖房で体が少しずつ戻ってくる。
その時間が、なんとも言えず幸福だった。
夫が小さく笑って
「今日はよく頑張った」
と言った。
誰に向けた言葉だったのかわからない。
でも、その一言で「今日の寒さも悪くない」と思えた。
9. 次へ向けての誓い:準備は未来の自分への手紙
帰り道、私たちは自然と“次の観戦”の話をしていた。
- ロングコート(家族分)
- 座席クッション
- 座席用カイロ
- 大判ブランケット
- ネックウォーマー・足首保温
- 防水カバー
- そして 余分の備えを誰かのために
準備は、未来の自分や誰かを守るための
“やさしい手紙”なのだと気づいた。
次に観戦するとき、
私たちは今日の苦い経験をきっと活かせる。
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10. 最後に:今日の冷えを忘れないように
鏡に映った赤い頬と濡れた髪。
バッグから出てきた未使用のカイロ2つ。
足りなかったはずなのに、残っている。
それは、たぶん今日の私から次の私へ渡された
**“余白”**なのだろう。
そして私は、そっとメモをした。
- 天気予報を甘く見ない
- 座面の冷え対策は最優先
- ホットドリンクは二杯目が本番
- 夫には動けるスペースを、息子には眠れる場所を
準備は愛。
今日は、それを身をもって知った。
次のスタジアムでは、笑って写真を撮れるはずだ。
