5時30分
アラームが鳴る。
止める。まだ起きない。寒さが、布団の中で私を押さえつけている。
5時40分
もう一度、頭の中で「さぁ」と言って、今度こそ体を起こす。声に出さないのは、家がまだ眠っているからだ。
乾燥機には、昨夜の続きがそのまま残っている。洗濯物を畳み、定位置に戻す。それだけで、少しだけ世界が整う。着替えを済ませ、洗面所の鏡の前に立つと、そこにいるのは、目の奥がまだ目覚めきらない私だった。
顔を洗う。冷たさに、思考がようやく輪郭を取り戻す。
5時55分
いつからだろう。朝になると、髪が必ずどこか捻れている。アイロンを当てながら、時間と一緒に癖づいたものの多さを思う。
メイクは、武装だ。くすみも、疲れも、迷いも、手際よく隠していく。人生が刻んだ痕跡を、今日一日分だけ見えなくする。
6時25分
時計を見ると、6時25分。
年始最初の月曜日だというのに、もう余裕がない。
階段を降りるときは、手摺りに手を伸ばす。一段一段、慎重に。若いころのように、駆け下りることはしない。その先で、キッチンが待っているのを知っているからだ。
「よしっ」
小さく気合を入れると、体は迷わず動き出す。
息子の弁当。家族の朝ごはん。考えるより先に、手が順番を覚えている。フライパンが鳴り、湯気が立ちのぼり、家は少しずつ目を覚ます。
眠気も寒さも、ここでは足を止める理由にならない。
私は今日も、家族の一日が無事に始まるように、朝を回している。
まずは、今日の朝の自分を1時間分振り返ってみた。

