「今日は虫歯はないか? 磨き残しはないか?」
この二つを確かめるために行った、5歳息子の定期歯科検診。
診察台に上がる前のアンケートには、定番の質問が並ぶ。
「歯磨きは1日何回?」
「仕上げ磨きは?」
「デンタルフロスは使っている?」
「うがいは上手にできる?」
「おしゃぶり(指しゃぶり)はしている?」
……この最後の質問で、心の中の私が小さくザワつく。
正直に書くべき? それとも……?
悩んだ末に、今日は腹をくくって素直に答えた。
診察台の上で、息子は泣かない
「お口を大きく開けて〜」
先生の指示に、息子は泣くことも、そっぽを向くこともなく、
すっと口を開ける。
それだけのことだけど、私は胸がいっぱいになる。
小さな手がぎゅっと握られて、足は少しソワソワしている。
でも、逃げない。
5歳の勇気は、想像以上に強い。
「虫歯はありません。磨き残しもありません」
この一言に、肩から力が抜けた。
はーーーーーー安心した。
毎日の歯磨き、仕上げ磨き、
寝る前に「あー」「いー」と口を開けてもらう小さな習慣。
時には泣き、時には黙り込み、時には笑いながら。
親子で積み重ねてきた時間が、
ちゃんと結果になって返ってきた。
「よしよし、息子の歯も健康!」
そう思った矢先に——
「前歯が少し揺れてきましたね」
え? えっ? えっ? えっ?
それって、もう抜けるやつ?
確かに、そういう年齢だ。
でも、いざ「揺れてますね」と言われると、
思った以上に胸にくる。
嬉しい?
寂しい?
成長の証?
もう赤ちゃんじゃない現実?
感情のフルコースが一気に押し寄せる。
そして来た——「指しゃぶり」の話
先生が、さらりと、でも丁寧に聞いてくる。
「指しゃぶりはどの程度しますか?」
「最近では、人に見られても気にせず、加えたいときは堂々としています」
「テレビを見ながらも?」
「はい。眠いとき、リラックスしたいときは特に」
先生の表情がふっと曇る。
「そうですか…… すぐにやめるのは難しいかもしれませんね」
——ガーーーーン。頭の中に鐘が鳴る。
私の胸はまたザワザワする。
分かってるけど、難しいことってある。
お守りみたいな指。安心の儀式。
象の膝みたいに固くなった指先は、
息子がこれまで乗り越えてきた「不安」と「がんばり」の歴史そのものだ。

先生の声かけが、実は救いだった
先生は息子にも優しく話しかける。
「大人の歯がきれいに生えてきたほうが、カッコいいお兄ちゃんになれるよ。いいよね?」
息子は「うん」とうなずく。
「指しゃぶりをしていると、きれいに生えないこともあるから、やめよっか?」
……息子は、首を横に2回。
振る。振る。振るなーーーーーー!(母の心の叫び)
でも、ここで気づいた。
息子は「やめる気ゼロ」なのではなく、
**「今はむずかしい」**と体で伝えているだけ。
先生の言葉も、「脅し」ではなかった。
未来の自分を想像させながら、尊厳を守ってくれた。
否定ではなく、伴走。
この日、いちばん救われたのは、私の方かもしれない。
「やめさせる」じゃなく、「安心を別の形に」
たぶん、多くの家庭で通る「指しゃぶり」の道。
そして、いちばん難しいのは「やめさせること」より、
「安心の置き換え」を見つけることなんだと思う。
ここからは、我が家の作戦会議メモ。
もし同じ地点で立ち止まっているママがいたら、
一緒に試して、合うものを見つけませんか?
1. 完全NGにしない(逆効果だった)
「ダメ!」は、だいたい長引く。
我が家は時間と場所を決めて、まずは「限定OK」にする。
・おうちの中だけ
・寝る前の15分だけ
・テレビを見るときは×、絵本のときは◯
できた日は、めちゃくちゃ褒める。
2. 指の代わりを用意する(安心の代替)
・小さなぬいぐるみ
・お気に入りのハンカチ(匂いが安心につながる)
・「もみもみボール」「にぎにぎタオル」などの感触グッズ
「ダメ!」の代わりに「こっちにしよっか?」の選択肢を。
3. 可視化する(達成感を育てる)
・カレンダーにシール
・寝る前に「今日どうだった?」と一緒にふり返る
・3日できたらミニご褒美(シールや折り紙の指輪で十分!)
叱るより、“できた”を増やす方が早い。
4. 歯が抜ける日をイベントにする
「抜けた=成長の通過儀礼」
・記念写真
・小さな手紙を一緒に書く
・歯の妖精ごっこ(日本版カスタムでOK)
“お兄ちゃん化”を前向きなストーリーに。
5. 口を使う遊びを増やす(さりげない口腔ケア)
・シャボン玉、ストロー遊び、笛
・よく噛むおやつ(硬めのフルーツ、するめ、にんじんスティック等)
・口まわりの筋肉が育つと、指しゃぶりの頻度が自然と減ることも。
小さな後悔と、これからママになる人へ
振り返って思うのは、
おしゃぶり(または代替の安心グッズ)という選択肢を、
最初からもっとちゃんと考えてよかったということ。
寝かしつけのたびに「指」を選ぶ息子を見て、
「あぁ、あのとき別の“安心”を用意できていたら」と思う瞬間がある。
もちろん、完璧な正解はない。
おしゃぶりが合う子もいれば、合わない子もいる。
指しゃぶりが落ち着く子もいれば、長引く子もいる。
それでも、選択肢は多い方が心がラク。
これからママになる人へ、私から伝えたい三つのこと。
- 「安心」は悪じゃない。
赤ちゃんや子どもは、自分で整える力を練習中。
指でも、おしゃぶりでも、毛布でも、“助け”は必要なときに必要。 - 「やめさせる」はゴールじゃない。
大切なのは、心が満たされる別の道を用意すること。
叱るより、置き換える。奪うより、選べるように。 - ママはもう充分がんばってる。
今日は「虫歯なし」「磨き残しなし」。
それって、毎日のあなたの努力の証明。
自分を労わる日も、ちゃんとつくっていい。
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ママと赤ちゃんの「まいにちを、とくべつに」【Berpy】
先輩ママ、どうしてますか?——知恵を教えてください
ここからは、noteを読んでくれた先輩ママにお願いです。
私も模索中の身。だからこそ、リアルな知恵が欲しい。
- 指しゃぶり、いつ・どうやって卒業しましたか?
- 「限定OK」ルール、うまくいったコツは?
- 代替アイテムで効果があったもの、知りたい!
- 歯並びや噛み合わせ、実際どうだった?
- 歯が抜けるイベント、家族の習慣やアイデアを教えてください。
コメント欄で、よかったら成功談も、失敗談もシェアしてください。
きっと、同じ場所で踏ん張っている誰かの助けになります。
——私のように、診察台のそばでドキドキしているママの背中を、
そっと押してくれるはずです。
最後に——「象の膝」を愛しく思う日
ちなみに、息子の指はタコを超えて“象の膝”。
この表現、笑われるかもしれないけれど、
私にとっては愛しさのメダルでもある。
不安だった日、眠かった夜、泣きたい夕方。
そのたびに彼は、ちいさな指で自分を守ってきた。
強くなる準備を、ちゃんとしてきたということ。
だから私は、焦らず、でも前を向いて、
「安心の置き換え」を一緒に探していく。
大人の歯が生えてくる道のりを、
親子でニコニコしながら歩けるように。
今日の診察台で、
私は息子の成長を目撃した。
そして同時に、自分の心が揺れた。
その揺れごと、ここに置いておきます。
読んでくれて、ありがとう。
そして、先輩ママのみなさん——
どうかあなたの物語を、聞かせてください。
